10周年を控え、いまだ人気の衰えないピッツェリア
2022年9月で創業10周年を迎える『Pizzeria Terzo Okei(以下、テルツォ)』。東京・新橋の地で唯一の薪窯焼きのピッツァを提供し、長きにわたって近隣会社員を中心に愛される、ピッツェリアの名店だ。
場所はJR新橋駅より徒歩1分。小道に入ったところにあり、店頭には外飲みができるテラス席も用意され、夏場は外まで賑わいを見せる。
2020〜2021年の緊急事態宣言中は休業や時短営業で対応していたが、2021年11月以降は『テルツォ』の営業再開を心待ちにしていた常連客が多く訪れ、週末は予約で埋まるまで回復。それほどお客からの熱い支持を集めている一軒なのだ。
店内はテーブル席に、1人飲みもできるカウンター席も用意。ピッツァをメインとした食事利用から、ワインやビールに合う一品料理も揃えることで、2〜3軒目としても利用できる。またSサイズのピッツァも用意しており、飲んだ後の“〆ピッツァ”を食べにくるお客も少なくない。
イタリアから輸入した窯を入れ、薪で焼き上げることで、薪の香りが食欲をそそるピッツァが特徴。また、この窯を活かした窯焼き料理も豊富に用意している。
店内壁面には、ワイナリーの生産者によるサインがずらりと並び、気取らずに食事が楽しめる雰囲気がある。
『テルツォ』だけの「熟成生地」って?
では、独自性を追求したピッツァをはじめ、一品料理の数々を紹介していこう。
お店にはピザ職人が常駐。オーダーごとに生地を伸ばし、ソースや具材を乗せ、火加減を見ながら焼き上げていく。
その様子は店内外から見え、職人の技をつまみに飲める雰囲気も楽しい。
まずはナポリピッツァの定番「マルゲリータ」。トマトソースにモッツァレラチーズ、バジルをのせたシンプルでいて、その店の特徴を如実に表す必食の1枚だ。
トマトソースに使うトマト缶やモッツァレラは、イタリア産で本場の味を再現する一方、並々ならぬ力を注いで研究開発した「熟成生地」でオリジナリティを追求している。
熟成生地のピザ生地は、『テルツォ』のピザ職人が2021年夏頃から研究開発を続け、完成させたオリジナル生地だ。
自家製の発酵酵母種を作り、酵母の働きや乳酸、酢酸などがどの温度帯でどう働くかなどを研究。これらの黄金比を生地づくりに反映させている。
例えば春から秋の温かい時期は、24時間発酵させた後、最低でも3〜4日間冷蔵庫で熟成させる。対して発酵の難しい冬の寒い時期は、24時間発酵後に、その日の気温にあわせて熟成タイミングを調整する。時には、記事を48時間発酵させすぐに使うなど、日に日に変化する気温や湿度に適した発酵時間で生地を作っている。
また寒い時期は酵母が活発に動かず、さらに生地に使う塩は酵母の動きを鈍くし発酵の妨げになるため、夏より塩の量を減らすなどの調整も。そのため冬は塩味がやや減る分、小麦の旨味が引き立つなど、季節による味の変化が楽しめる。
身体にやさしいピッツァを追求
「なぜ熟成生地かというと、身体に優しいピッツァづくりを目指そう、ナポリピッツァの枠にとらわれず美味しいピッツァを提供しようとの思いから。一般的なピザ生地に使われるイースト菌で発酵させた生地は、体内で消化されにくいですが、サワー種に含まれる乳酸菌は消化されやすいという性質があります。この理論に基づき、イースト菌よりも乳酸を多く含むとされるビール酵母を使い乳酸よりの記事作りを研究し続けています。ただサワー種種をピザ生地にするのは非常に難しく、長期熟成すると状態や生地の伸びが悪くなったり……。粉や発酵種、水分量などの割合を試行錯誤し、長期熟成に耐えられる生地がようやく完成しました」と、株式会社Okeyピッツァ担当の佐藤雅章氏は言う。
身体のことを考えたピザ生地は、サクッとした軽い食感が特徴。そのため、1人1枚ぺろりと食べられるほどだ。
熟成されるほど旨味が増した生地に、トマトやチーズに含まれる旨味成分が重なることで、三位一体のおいしさが味わえるというわけだ。
季節限定の「黒トリュフとポルチーニ」は、トリュフの風味が香る贅沢な1枚。
トリュフソースとベシャメルソースを合わせたソースが、濃厚な味わいに。その上に、ポルチーニをはじめとしたきのこ類、生ハム、水牛モッツァレラチーズを乗せる。きのこはエリンギやひらたけ、白舞茸など6種をソテーしたものを具材として使用。きのこの滋味あふれるピッツァに仕上がっている。
さらに白トリュフの産地・ピエモンテ州のトリュフメーカーが作るソルト「タルトゥフランゲ」も使うことで、トリュフの香りをさらに高めている。
ピザ生地もピザ窯も、日々状況が変わるため、最適な仕上がりになるよう見極めるのがプロの技術。
いまもピザ生地の研究を進めており、おいしさを追求し続けているようだ。
ちょい飲みにも使える一品料理
お酒と相性のよい一品料理も見ていこう。
まずは冷菜の「自家製リコッタチーズとトマト」。ヨーグルトと生クリーム、牛乳、塩のみで作るリコッタチーズは、ミルキーでありながらさっぱりとした後味に仕上げる。
チーズと合わせたトマトは、高知県産の無農薬トマトを使用。青味が残る味わいだが、ミルキーなリコッタチーズが青味を丸くしてくれ、ワインを進めてくれる。
具材たっぷりの「カポナータ」も人気メニューの一つ。赤と黄のパプリカにズッキーニ、ナス、玉ねぎをトマトで煮込んだイタリアの郷土料理をアレンジした一品だ。
ちょい飲み利用に対応し、ポーションは控えめ。ビール1杯とカポナータで飲むといった0次会にも使えそうだ。
ピッツァ窯焼き料理も名物で、人気は「窯焼きポルケッタ(自家製ハーブローストポーク)」。
豚バラ肉に塩をあて、ローズマリー、セージを巻いてオーブンで焼く。オーダーごとにカットした豚バラ肉を鉄鍋に盛り付け、ピザ窯で焼き目をつけて提供する。
ジュージューという音や脂の溶ける香りなどとともに提供されるため、五感が刺激される。
自社醸造クラフトビールも待ち遠しい!
アルコールの主力は国産クラフトビール。
okeiグループは現在、新橋の『Viva okei(ビバ オケイ)』、豪徳寺の『atelier de terrine maison okei(アトリエ ド テリーヌ メゾン オケイ)』、日暮里の『Okei Brewery(オケイ ブルワリー)』の計4店を展開。中でも21年10月にオープンしたオケイ ブルワリーはクラフトビール醸造所を併設したブリューパブだ。
そのためクラフトビールへの強い思いもあり、『テルツォ』でもクラフトビールを打ち出し6タップを用意。まだ自社醸造のビールは完成していないが、完成次第『テルツォ』でもオケイオリジナルビールが飲めるようになる。
「2月にIPAやペールエール、フルーツ系ビールの醸造を行う予定です。3月には提供ができると思いますよ」と株式会社Okeyクラフトビール醸造担当の大塚氏は言う。
またokeiグループでは、社内研修で世界のワイナリーに訪問する機会を設けている。『テルツォ』では、そうした研修先で出会ったワインやイタリアワインを中心に、グラスで20〜30種類を用意。料理やピッツァに合わせて、さまざまなワインを楽しめるようにしている。
料理はジャンルにとらわれず、スタッフの考案でコロコロと変わります。そのため、来店のたびに新しい味に出会える。
イタリア料理がメインだが、中にはもつ煮やおでんといったピッツェリアで珍しいユニークなメニューも。何度通っても楽しめるメニュー構成となっている。
さらに先述したように、季節や日によってピザ生地の調合や熟成度合いが異なるため、味の変化を楽しみに通ってみてはいかがだろうか。
【メニュー】
マルゲリータ Sサイズ1000円、Lサイズ1600円
黒トリュフとポルチーニ Sサイズ1800円、Lサイズ2500円
自家製リコッタチーズとトマト 800円
カポナータ 500円
窯焼きボルケッタ(自家製ハーブローストポーク) 1000円
クラフトビール グラス小650円〜、グラス大1000円〜
グラスワイン グラス660円〜、デキャンタ2880円〜、ボトル3500円〜
撮影:榊 智朗
Pizzeria Terzo okei
- 電話番号
- 050-5494-0317
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月~金
ランチ 11:30~14:30
(L.O.14:00、ドリンクL.O.14:00)
ディナー 17:30~23:00
(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
土・祝日
12:00~21:00
(L.O.20:30、ドリンクL.O.20:30)
※土・祝日のみ通し営業となります。
- 定休日
- 日曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。