■鶏肉のコクとうまみを最大限に味わえる「博多風水炊き」
鍋料理の定番「水炊き」。だしや調味料で味付けをせず、鶏肉と野菜のうまみのみを活かして作られるのが、発祥とされる九州地方の水炊きの特徴だ。
「水炊き」という名前の由来は、常温の水に入れた状態から火にかけ、じっくりと煮出していく調理法から付けられている。水から煮ることにより、鶏肉ならではのあっさりとしたうまみと、鶏ガラから出る濃厚なコクの両方を、最大限に引き出すことができるのだ。
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ここでは、まるで専門店でいただくような深い味わいの「博多風水炊き」レシピを紹介する。
味を追求するため、調理時間はなんと5時間。
手間と時間はかかるが、ひと口食べればその苦労を忘れるほどの感動が待っているはずだ!
■究極の「博多風水炊き」の作り方
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材料選びのポイントは、骨付きの鶏肉を用意すること。
鶏の骨髄にもうまみ成分が含まれているとされているので、骨付き肉を長時間煮込むことで、うまみを余すところなくスープに煮出すことができる。部位によって味の特徴は違ってくるが、今回は比較的手に入れやすい「鶏ガラ」と「手羽先」を使用しよう。
また、4時間煮込むといってもただ放っておくわけではない。
こまめにアクをとり、舌触りの悪いアクのかたまりと臭みを取り除くことで、あと味のよいスープに仕上がる。
また、臭み消しの役割をする「酒・ネギ・生姜・塩・コショウ」は、入れすぎると風味を損なってしまうので、慣れないうちは丁寧に分量を計って作ろう。
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■材料 (2人分)
<鶏のスープ(白湯)>
・水 … 6L
・鶏胸肉 … 1枚
・鶏もも肉 … 1枚
・手羽先 … 300g
・鶏ガラ … 200g
・長ネギ … 1本
・生姜 … 1片
・コショウ … 10粒
・日本酒 … 100ml
<具材>
・鶏もも肉 … 200g
・白菜 … 200g
・えのき … 1/2袋
・水菜 … 1/2袋
・長ネギ … 1本
・絹豆腐 … 1/2丁
■作り方 (調理時間:5時間)
① 鶏胸肉と鶏もも肉は熱湯(分量外)に入れ、沸騰させながらアクが固まって浮いてくるまで茹でる。取り出して茹で汁を捨て、流水で洗う。
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② 手羽先と鶏ガラは、沸騰させたお湯(分量外)の中に入れ、火を止める。1分程度経ったら取り出して茹で汁を捨て、表面にアクや血のかたまりがついていたら流水で洗い流す。
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③ 下茹でをした①と②、長ネギ、生姜、コショウ、日本酒、水6Lをすべて鍋に入れ、強火にかける。(※6Lの水が入る鍋がない場合は、6L使い切るまで水を継ぎ足しながら、約3時間煮込む)
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④ 沸騰したら、中火にして4時間ほど沸騰状態を保ち、こまめにアクをとりながらスープが半量になるまで加熱する。
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⑤ スープが白濁してきたらザルで濾す。
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⑥ 具材の鶏肉はぶつ切り、白菜は大きめの短冊切り、えのきは石づきを落としほぐす、水菜は4cmの長さに切り、長ネギは斜め厚切り、絹豆腐は食べやすい大きさに切る。
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⑦ 出来上がった⑤を容量1Lの土鍋に移し、ぶつ切りにした具材の鶏肉を入れ、アクを取りながら弱火で30分煮込む。
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⑧ ⑦に⑥の具材を加え、さっと火が通ったら完成。
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手間ひまを惜しまない、専門店顔負けの「博多風水炊き」の作り方を紹介した。
最後にもう一度、鶏肉のうまみとコクを最大限に引き出すためのポイントをおさらいしておこう。
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■おいしさの要となるポイント3つ
・骨髄のだしをスープに出すため、「骨付きの鶏肉」を使用すること
・臭みを取り除くため、アクをこまめに取り続けること
・鶏肉のうまみを活かすため、「酒・ネギ・生姜・塩・コショウ」の量は必要最低限に抑えること
これらのポイントを守り、じっくりと時間と愛情をかけて作れば、 “濃厚なのにあと味すっきり”な、究極の「博多風水炊き」が完成する。
完成した水炊きは、ポン酢などにつけていただいてもおいしいが、ひと口目はぜひ、何もつけずに味わってほしい。いつもの水炊きとは別格のおいしさに、感動すること間違いなしだ!
【レシピ作者プロフィール】
レシピ制作:フードクリエイティブファクトリー
「あなたとあなたの大切な人との暮らしをもっと穏やかで創造的に」を企業理念とする食のクリエイティブに特化した企画制作チーム。
食の企画、レシピ・商品開発、執筆、メディア出演、
イベントなどを手がけています。
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