日本最古のインド料理店「ナイルレストラン」が銀座にオープンしたのは1949年。未だにオープン前には20人ほどの列ができている。そんなナイルレストランの定番メニューといえば、「ムルギーランチ」。オープン時から変わらぬ味で提供されている。
夜も注文OK! 大勢の胃袋を鷲掴みにした「ムルギーランチ」とは?
ムルギーランチとは、地鶏のモモ肉を7時間煮込んだスパイシーなルウと、岩手県産のイエローライス、さらにキャベツの温野菜とマッシュポテト、グリーンピースが乗ったカレーだ。この「ムルギーランチ」という食べ物は、本場インドには存在しない。同店の創業者A.M.ナイル氏が、別々で食べているものをワンプレートにし、ムルギーランチと名付けた。つまりオリジナルメニューだ。
このままスプーンですくって食べてしまいそうだが、それはマナー違反。なんと、すべて混ぜてから食べるのだ。
まずチキンの骨をとりはずし、肉とルウ、温野菜、ポテトを混ぜ、最後にライスとも混ぜる。
汚い食べ方のようだが、スパイシーなルウに温野菜の水分とポテトの甘みが混ざり合い、カレーにコクが生まれる。一口、二口と食べていくと、じわじわと辛さがやってくる。辛さを例えるならば、市販のルウの中辛程度だろうか。意外にもグリーンピースがほくほくした食感で、アクセントになっている。追加トッピングでチキンマサラを注文する人も多いそうだ。
噂では混ぜないと怒られるそうだが、2代目店主のG.M.ナイルさんは「怒ってないよ(笑)。でも混ぜたほうがおいしいの!」と話す。派手な柄のシャツを着たひょうきんな店主は、テレビやラジオなどにひっぱりだこなので、どこかで見たことがあるかもしれない。なんと、カレー店の店主にもかかわらず、芸能事務所に所属しているほどだ!
ムルギーランチのライス抜きという裏ワザ的な注文方法も
「ムルギーランチ」はお客さんの9割、もはやそれ以上の方が注文するそうだが、実はナイルレストランには、それ以外のメニューもある。カレーだけでも海老カレーライス、マトンカレーライス、卵カレーライス、キーマカレーライス、チキンカレーライス、野菜カレーライス、ヨーグルトカレーライスと、7種類もある。
これらも食べてみたいが、ムルギーランチを外すわけにはいかない。とはいえ、2皿注文するとなると、量が多くて食べ切れる自信がない……。そこで裏ワザ的な注文方法を紹介すると、なんとムルギーランチはライス抜きで注文できるのだ。
ということで、ムルギーランチライス抜きと野菜カレーをオーダー。野菜カレーには、一口では食べられないほどにゴロっと大きくカットされた旬の野菜が入っている。
具材は季節によって変わるそうで、今回はピーマン、カリフラワー、ニンジン、ジャガイモなどが入っていた。トマトが効いたルウは、ムルギーランチよりも辛さを感じる。ちなみに海老カレーは激辛なので、覚悟して注文するように!野菜カレーのごはんに、ムルギーランチのルウをかけて混ぜて食べれば、ごはんは1人前になる。「ムルギーランチと他のカレーを両方食べてみたい」という欲張りな方は、こんな注文方法もあるということを覚えておこう。
ただのインド料理屋ではない! ナイルレストラン創設者とは?
ナイルレストランでは、同店の歴史が書かれた書籍も販売されている。実は、創業者のA.M.ナイルさんはインド独立運動に携わった革命家であった。それ以外にも、日本とインドの日印親善に貢献したことから、1984年に日本国天皇陛下により勲三等瑠宝章を授与されている。
現在こうしておいしくインドカレーを食べられるのは、根本を辿れば、A.M.ナイルさんのおかげなのかもしれない。そういった歴史的背景を知ったうえでいただくムルギーランチは、別格なのだ。
<メニュー>
ムルギーランチ1,500円
ムルギーランチライス抜き1,400円
野菜カレーライス1,200円
チキンマサラ1,450円
※価格全て税込
(取材・文/名久井梨香)
ナイル レストラン
- 電話番号
- 050-5486-6936
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月・水~土
11:30~21:30
日・祝日
11:30~20:30
- 定休日
- 火曜日
第1水曜日、第3水曜日
夏季休業・年末年始休み
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。