どうも、料理芸人・クック井上。です!
突然ですが、僕たち芸人は“食えるまで”の下積み時代、本当にお金がない…。だから、安くて大盛りのごはんが食べられるお店はとってもありがたい存在です。今回紹介するのは、芸歴丸17年の僕が15年程前から通っていて、下積み時代を支えてくれたとても思い入れのあるお店。ここの餃子は僕にとって、いや多くの若手芸人にとって“ご褒美”の餃子です! そんなこんなで今回の『餃子で巡る世界の旅in東京』は中野区にある日本の餃子です。
■○○なときだけ食べられる!? ご褒美餃子とは
やってきたのは、昭和60年創業の中華料理屋と定食屋の中間的存在、『尚チャンラーメン』。お店は、丸ノ内線新中野駅・中野富士見町駅・中野新橋、3駅のちょうどド真ん中あたりにあり、お世辞にもアクセスがいいとは言えない場所。なのに、平日の昼間も夜中も大盛況。駅前でもないのになぜそこまで圧倒的支持があるのか? そう、それほど魅力的なお店だってことです。では、いざ、お店へ…
ノスタルジックで昭和テイストの落ち着く店内。さっそく餃子を注文します!
「すいませーん、餃子下さい。」(いつもはある条件を満たさないと食べられないのですが…)
じゃん! これこれ! これが思い出の餃子やー!
よく焼きな焼き目が良い感じ! では、いざ実食!
ふわぁっ~!!いい味出てる、たまらんな~!!!
オーソドックスな味ながら、ニンニクも効いていて味つけもしっかりで、間違いなくビールにもご飯にもベストマッチな餃子! そういうとしつこい餃子に聞こえるかもしれませんが、野菜本来の甘味がとても心地よく、意外とあっさりしていて、めっちゃ落ち着く味。その秘密は、中身の餡に包まれています。
餡はキャベツをメインに、長ネギ、ニラ。ここまでは普通。そこに少量のニンジンをいれているそうです! 本当だ、ちらほら赤いのが見える。餃子としては珍しい具だけど、味を邪魔せず香味と甘みを加えていて、とってもいいアクセントです。“尚ちゃん”こと、店主・中園尚秋さんによると、季節によって少し具材を変えたり加えたりしているそうで、冬場などは大根を入れることもあるんだって! おー、それも優しい甘みが加わっておいしそう! そうか、僕らは気づかなかったけど、年間通して適度に具を変えているから、飽きずに15年以上通えているのかも。撮影に来なかったらわからなかったわ(笑) これらの具材に、塩・醤油・ショウガ・ニンニク強めで味つけしているそうです。
え? なんでこの餃子がご褒美なのかって?
お笑い好きな方はご存知だと思いますが、中野にはライヴ会場がたくさんあって、若手芸人が多く住む街。僕は中野に住んだことはなかったですが、中野でライヴ出演した後に、仲良しの若手芸人数人で来ることが多かった。でもお金がなかったから、あれもこれも注文できない。まずはお腹を満たすためにセット(定食)をオーダーして、大好物の餃子は“ライヴでウケたときだけ、注文できる”というマイルールを作っていました。自分に対してのささやか且つ最高のご褒美。若手芸人はもちろんの事、今は第一線で大活躍されている大御所芸人のあんな方や、こんな方も、今でも足繁く通っているんですよ!
■部活のマネージャー的存在!? 若手が集まるワケとは
『尚チャンラーメン』に若手芸人が集まる理由は、もちろんお笑いの聖地・中野周辺ということもあるんだけれども、なによりコスパが最強だから! このお店のオススメがマジでコスパ最強「ボリューム満点セット」。その名に偽りナシ、見よこのボリュームを…
ド、ド、ドォーーーーン、見たかこのボリューム!
これは「生姜焼定食+半ラーメン」(850円)なんですが、まずメインの生姜焼きがめっちゃ多い! 加えて皿に盛られたライスが“まんが日本昔話”級の盛り方。これを見ただけで満腹になりかけるんですが、更に半ラーメンが付いちゃうという…。だから来るときは絶対に腹ペコで来てください。で、できれば何人かで来て、違うものを注文して分け分け(シェア)して食べるのがいいですよ! 初めての来店なら、生姜焼き定食か木耳肉(キクラゲ)定食でキマりです。そして忘れちゃいけない、餃子もセットでどうぞ。ちなみに、この「ボリューム満点セット」に “ライヴでウケたときだけ、注文できる” は餃子をプラスにしたものを通称「ボリューム満点贅沢セット」と勝手に呼んでました。それがコレです。
多い、多い、多い!完全に多牌だよ(笑)別に大盛りを頼んでいるわけではないんですよ、普通盛りがデカ盛り。「こんなに食えるかー!」とツッコミながら食べるという…。だから皆さん、間違っても「大盛りで!」なんて注文しないように! 僕なんて、逆に「ご飯少な目で!」って注文する時もあるぐらいで。じゃ、わざわざボリューム満点の『尚チャンラーメン』に来なくてもいいじゃないかと思うのですが、でもそういいながら来たくなっちゃうのが『尚チャンラーメン』の不思議ね。
ここで、“クック井上。流”ショウガ焼き定食の食べ方を紹介。まず生姜焼きをご飯にドンと置きまして、そこにマヨネーズをつけたキャベツの千切りをセットオン! それをライスと一緒に掻き込みますと、そこは天国! それだけでもいいんですが、モグモグしてるところに、餃子もパクっとすると、ハイ極楽。
いわゆる三角食べをして“口内調味”をすると、色んな味が口の中で踊り出して、最高に至福ですよ。
途中で半ラーメンのスープを吸うのも◎。ラーメンはTHE東京ラーメンというべき醤油ラーメン、落ち着く味です。
どの料理も、どのお店でも出逢えそうな味なのに、なかなか出逢えないんだよな~。ほら、別に絶世の美女って訳じゃないし、お洒落って訳でもないし、クラスで一番かわいい訳でもない。なんだったら少し田舎くさいのに、でも、笑顔がかわいくて、安心感があって、なぜか男子にモテる女の子っていませんでしたか? いや、モテるどころか、野球部やサッカー部のエースに告白されちゃうよ、そういう子は! そう、例えるなら“部活のマネージャー”のようなタイプ! 『尚チャンラーメン』は、若手芸人にとってウケた時もウケなかった時も優しく安心感と元気をくれる、“部活のマネージャー”的存在なんです! 「俺、気付いたんや。尚チャンがええんや、尚チャンじゃなきゃダメなんや。尚チャンが好きなんやーーー!」です(笑)
すいません、取り乱しました。いやでも冗談抜きで、こんなボリュームでこのお値段とは、ちょっと安すぎじゃありませんか? 儲けなんてあるの?
「儲けはちょっとでいいのよ。それよりも、みんなが喜んでくれるほうが大事。これは開業したときに決めて、ずっと守ってきていること」と尚ちゃんさん。
く~ぅっ! かっこいい!
そんなかっこいい尚ちゃんさん、お店から帰る頃に突然雨が降ってきたら、傘を貸してくれたりするんですよ。で、渡すときに「はい、500円ね」と冗談を言ったりして(笑)。そういう優しさとユーモアを持った店主だから、芸人が集まってくるのかもしれないね。ボリューム満点なのに安いから、目にもお腹にも財布にも優しいけれど、なにより『尚チャンラーメン』は、心を満たしてくれる。あったかくなる。僕が、そして多くの若手芸人も大御所芸人さんも、長い間通い続ける理由をわかっていただけたでしょうか? ここ嫌いな人、絶対いないと思う! よし、もっともっと仕事頑張って大御所になろう、そして大御所になっても通い続けよう。(道は険しい)
<メニュー>
餃子 400円
生姜焼定食+半ラーメン 850円
木耳肉定食+半ラーメン 850円
※価格すべて税込
編集協力:名久井梨香
撮影:吉田朱里
尚ちゃんラーメン
- 電話番号
- 03-3384-0729
- 営業時間
- 11:30~22:00
- 定休日
- 月曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。