東京・東銀座に店を構える『ばぁーどはうす〇勝(まるかつ)』をご存知だろうか。最高級の純系名古屋コーチンを重厚な鉄板で供する焼鳥の隠れ家だ。
2010年6月にオープンして以来、じわじわと人気が広がり、今ではツウが集う鳥料理の店として認知されている。
その『ばぁーどはうす〇勝』が親子丼専門店をオープン。本店で大人気だった“〆ご飯”の親子丼をメインにした『親子丼専門店 〇勝』を開店した。
もともと親子丼は本店でも食べられるが、親子丼のみの来店はNGだった。しかし、親子丼目当てで来店するお客さんが増えてきたため、こちらの『親子丼専門店 〇勝』を出店するに至ったのだ。
稲垣種純系名古屋コーチンを使用した「親子丼」がウマすぎる!
看板メニューは、稲垣種純系名古屋コーチンの雌鶏を使用した「特上親子丼」(写真上)。稲垣種純系名古屋コーチンとは、三大地鶏の一つである名古屋コーチンの中でも最高級のもので希少性も高い。
雌鶏はうまみ成分であるイノシン酸を多く含み、鶏肉のうまみや香り、味が凝縮されており、同じ名古屋コーチンでも、クオリティがきわめて高いという。
キラキラと光るとろっとろの卵は、思わず「美しい!」という言葉が出てしまうほど。スプーンで食べやすいように、ひと口サイズにカットされた肉は、噛んだときに鶏肉のうまみが口の中で広がる。
部位はもも肉とむね肉を使用しており、心地いい弾力性。野菜と鶏ガラを煮込んだ鶏ガラスープのだしと醤油、みりんの、華やかなタレの甘さとのバランスもバツグンだ。
卵から溢れたタレがしみ込んだごはんも美味。契約農家から取り寄せているという新潟産のお米は、ほどよく芯が残るようアルデンテで炊いているという。だから、つゆだくでも米粒の食感が残っている。
▲七味と山椒は、京都の七味屋から取り寄せている
店主の篠原勝(まさる)さんによれば、ひと口目はそのまま食べて、その後、卵を割って、どろっと流れる黄身をご飯に絡め、徐々に混ぜ合わせながら食べるのがオススメとのこと。
同じく稲垣種純系名古屋コーチンを使用した「特上塩親子丼(胡椒味)」(写真上)も絶品。鶏ガラのスープとコショウだけのシンプルな味付けのため、鶏肉の味がダイレクトに伝わり、卵の甘みも際立っている。
さらに、「信玄鶏の親子丼」「信玄鶏の塩親子丼(胡椒味)」も用意。弾力ある名古屋コーチンに比べて、信玄鶏はやわらかく、ふわっとした鶏肉で、こちらも鶏肉のうまみがストレートに味わえる一品だ。
料理に対する、店主の哲学とこだわりがハンパじゃない!
実は『親子丼専門店 〇勝』をオープンするにあたり、課題があった。それは親子丼専門店を開くだけの稲垣種純系名古屋コーチンを確保することができなかったことだ。先述した通り、名古屋コーチンの中でも最高級で希少な種類。しかも雌鶏のみを使用している。鶏の絶対量が少ないため、親子丼を提供したくてもできない状態だったのだ。
そこで篠原さんは『稲垣種鶏場』に相談。すると協力を得ることができ、なんと半年間かけて鶏の生産量を増やしてくれたのだ。「稲垣種純系名古屋コーチンが使えないなら、親子丼専門店をやることはなかったですね」と話す。
こだわりは、それだけではない。卵は注文を受けてから割り、また一気に何人分も作るようなことはしない。さらにタマネギや長ネギを抜くなどのカスタマイズもお断りだ。
「卵は火加減がすごく重要。半熟だけでもダメだし、火が通りすぎてもダメ。火加減を見ながら作るとなれば、一度に何食分も作ることはできない。私が納得しない料理はお客様に出したくない」とも。
ちなみに店名の“〇(まる)”は、ご縁の意味と、おいしい料理を食べて笑顔になってもらいたいという意味が込められているという。
▲文字は、ファンであった書道家の武田双雲先生に書いてもらったとのこと
養鶏場にお願いしてまで、オープンした『親子丼専門店 〇勝』。店主のこだわりと覚悟が込められた親子丼は待ってでも食べる価値ありだ。
【メニュー】
特上親子丼 1,460円
特上塩親子丼(胡椒味) 1,460円
信玄鶏の親子丼 1,000円
信玄鶏の塩親子丼(胡椒味) 1,000円
※価格は税込
(取材・文/名久井梨香)
親子丼専門店 〇勝(まるかつ)
- 電話番号
- 03-3567-8080
- 営業時間
- 11:30~15:00(L.O.14:30)、17:00~21:00(L.O.20:30) ※なくなり次第終了
- 定休日
- 日曜・祝日
- 公式サイト
- http://www.marukatu.jp/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。