昼から呑めると話題の店が神楽坂にオープンした!
神楽坂通りの両側から漂ってくる香りに食欲をそそられる。誘惑と戦いながら坂を登ること約3分。たどり着いた雑居ビルの3階に、昼から呑めると話題になっている『神楽坂ワイン食堂Terzo(テルツォ)』は、ひっそりと店を構えている。(写真上)
「ランチやディナーと時間をわけるのではなく、『テルツォ』の空間を好きに使っていただきたいと思い、お昼から夜中までオープンすることにしました」と軽快に話すのは、“ソーセージ職人”であり店主の長谷川将人さん(写真上)。
気のきいたイケメン店主のサービス精神と食材への追求心がすごい! と、オトナ女子がこぞって集まっている。“隠れ家バル”の人気の秘訣を探ってみた。
がっつりなのにヘルシー!コスパ抜群のホットドッグランチ
こちらのお店、とにかくコスパがすごい! その中でもランチのホットドッグセットは最強だ。
まずセットのひとつである、彩り豊かなボリューム満点のサラダがこちら(写真上)。噛めば、口の中で水しぶきが弾けるほど。ほろ苦いフレッシュなクレソンには、コリンキー(生食できるカボチャ)やパプリカ、赤大根を添えて甘みを補う。
甘酸っぱいシェリービネガーのソースで和えた大人のサラダは、ランチのおまけにはもったいないほどの主役級。野菜はすべて無農薬にこだわる。
「例えば、東京都小平市の住宅地の中で有機・無農薬の野菜を作っているおじいちゃんがいるんです。72歳の我山惇さんは、1,000坪もの土地を一人で切り盛りしています。関東ロームの火山灰土壌だから、土に有機物を与え続けないと土の質が落ちてしまう。我山さんは、落ち葉でつくった堆肥を加えて土の栄養価を保っています。畑には雑草なんてほとんどありません。丁寧に抜き取ることで病気や害虫から守られた、身体に優しい野菜を届けてくれています」(長谷川さん)。
気の遠くなるような作業の末に育った野菜を食べれば、やっぱり作り手の愛情は伝わってくる。
全部で9通りの組み合わせが可能な「ホットドッグ」は昼でも夜でも大人気
ランチのメインであり、ディナーでも大人気の「ホットドッグ」(写真上)は3種類の自家製ソーセージからチョイスして、トッピングも自分で選べるスタイル。定番のプレーン味、酸味のきいたザワークラウト味、そして濃厚な辛味がクセになるチリビーンズ味から選ぶことができる。
全部で9通りの組み合わせの中から、今回は一番人気の「豚あらびき×チリビーンズ」をいただいた(写真下)。
ソーセージをパンに挟んだシンプルなメニューだが、長谷川さんが毎朝手がけるという「あらびき豚のクラフトソーセージ」(写真上)は、肩とスネの部分をローズマリーやセージなどのハーブに1日かけてゆっくりと漬け込む。そこに味のポイントになる豚の背脂を混ぜて腸詰めし、じっくりと焼いていく。
ゴロンと並ぶレッドキドニーたっぷりのチリビーンズに、食欲をかきたてられる。トッピングの隠し味は豆板醤。まろやかな口当たりの後から、じんわりと辛味が襲ってくる。
ソーセージを優しく包み込むバンズは東新宿『峰屋』で特注したものを使用。有名グルメバーガー店やレストランなど100店舗以上にパンを卸す名店である。天然酵母で作られた全粒粉の柔らかいバンズは、ソーセージから溢れる肉汁を一滴も無駄なく吸収するよう計算されているのだとか。
「女性でも食べやすいよう小ぶりにオーダーしています」と長谷川さん。これだけの食材を使った上に、セットのドリンクはビールやワインをチョイスすることも可能。おまけにプチデザートまでついて1,000円! 懐にも優しいランチセットは、一度は味わってみたくなる。
甘い肉汁が止まらない!! 3種の“クラフトソーセージ”
ソーセージには背脂が重要!という長谷川さんは、最高の背脂を探し求めて養豚場を駆け巡ったそうだ。たどり着いたのが、神奈川県・湘南で育つブランド豚「湘南みやじ豚」だった。毎月わずか100頭しか生産せず、ストレスフリーの環境でのびのびと育った豚の脂は、本当に甘みが豊かである。
定番の「あらびき豚」(写真・中央)は、歯ごたえがよく豚のうまみと甘みをシンプルに味わいたい人にオススメだが、個性ある2本も捨てがたい。
「エマルジョン」(写真・左)は豚の首、豚トロの部分を使用し、柔らかいムース状に仕立てられている。脂がきめ細かく、しっかりと塩味がきいていて芳醇なうまみがグッと感じられる。
「ピリ辛ひつじ」(写真・右)は、豚の肩肉とヒツジの肩肉をブレンドし、ローズマリーやオレガノでマリネしたもの。スパイスの辛味とエキゾチックな香りに酒がすすむ。
初心者にも嬉しい!自然派ワインの楽しみ方をソムリエールが伝授
「親しみのある味わいをテーマに揃えました」と嬉しそうにボトルを抱えるのは、『テルツォ』のソムリエール・加藤あゆ美さん。
自然派ワインの独特な風味が苦手なお客にも楽しんでもらえるよう、常時100種類以上取り揃えているという。そんな敏腕ソムリエールがおすすめする、バラエティに富んだ5本を紹介しよう(写真下)。
右から順に、山梨県甲州市で造られた「Okunota Frizzante 2014(奥野田フリッツァンテ)」は、微発泡タイプの白ワイン。良い土壌作りにこだわり、たった4人のスタッフで造ったというワインは、ほろ苦くデラウェアのうまみを強く感じる。
エチケットがかわいい「Bianco POP 2015(ビアンコポップ)」は、ワイン初心者の方におすすめしたいと加藤さんは言う。その理由には、造り手の意図があった。ワイン離れがすすむ故郷・イタリアの若者たちでも飲みたいと思うようなワインを造るため、スローフードを学び、自然派の巨匠に弟子入り。そんな努力から生まれたワインは、口当たりが優しく、柔らかい果実味で本当に飲みやすい。
「Lambda 2013(ランブダ)」は4種のブドウが入ったトスカーナ産の赤ワイン。ブドウを足で踏み、畑は馬で耕すというクラシックな手法で造られており、濃厚で純粋なブドウのうまみがグッとくる。
フランス・ロワール産の赤ワイン「Les Debonnaires 2013(レ デボネール)」は、カベルネフランの青臭い香りが苦手な方に飲んでもらいたいと加藤さん。エレガントな味わいとスパイシーな複雑味はハーブが練りこまれた香り豊かなソーセージと相性がよい。
「Tollo Montepulciano Biologico 2014(トッロ モンテプルチアーノ ビオロジコ)」は、ジューシーな果実味とだしのようなうまみが特徴のワイン。食材の邪魔をしないから、食中酒にぴったりだ。
ラインナップが豊富なだけに迷う人も多いだろう。そんな時は、加藤さんに声をかけてみてほしい。世界中の生産者と会い、その歴史や造り手の意図をくみ取って丁寧に選ばれたワインには、どれもおもしろい物語がある。ブドウのうまみとともに心に沁みて、おいしさがもっと引き立ってくる。
食材に妥協せず、ワインの物語にもこだわる。だけど、押しつけがましいところが微塵もないから、居心地がいいのだろう。罪悪感なくヘルシーにお腹を満たしてくれるランチや優雅な昼呑み、友人や家族と楽しくワインをいただいたりと使い方は自由自在。
「Thank you!」の文字が添えられたホットドッグには、思わず顔がほころんだ。味はもちろん、好きな時間にそれぞれの楽しみ方ができるのだから、人気になるのも当然だろう。
【ランチメニュー】
日替わりホットドッグセット 1,000円 ※平日限定
【ディナーメニュー】
クラフトソーセージ1本 880円
クラフトソーセージ3種盛り 2,380円
ホットドッグ(単品) 980円
グラスワイン 580円〜
ボトルワイン 2,980円〜
※価格は税別、テーブルチャージ300円別
神楽坂ワイン食堂 Terzo
- 電話番号
- 050-3490-7661
- 営業時間
- 月~金 ランチ:12:00~14:00(L.O.14:00、ドリンクL.O.14:00)(ディナー 18:00~24:00 L.O23:00) 土・日・祝 12:00~24:00(L.O.23:00、ドリンクL.O.23:00)
- 定休日
- 不定休日あり ※年末年始
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