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もんじゃストリートに旨い穴子あり |
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月島にある鮨屋(非公開) |
好物は何?と聞かれると、肉に魚にとキリがないけど、最近のお気に入りは穴子とシチュー。穴子は、月島にある10年来の知り合いがやってる鮨屋のものが一番旨い! この店の主人は「魚を愛して、女はいらない」なんて言うおもしろいやつで、私と同じぐらいの歳。そして彼が握る穴子の旨さは半端じゃない。穴子は味をつけて煮るのが普通だけど、ここでは大きな穴子を茹でるような感じでゆっくりゆっくり火を通し、そしてお客に出す時にコラーゲンや旨味が溶け込んだその茹で汁で温め直すのが特徴。その上に、頭や骨を出汁に1日かけて作った甘辛い詰めダレをテラっと付けて出してくれる。その味わいは、口の中でほわぁっと溶けて無くなっていく感じとしか表現できない。珍しい、腹がベッコウ色した良質な穴子が入ってるなんて聞いたら、「おいしいものは誰にもあげたくない!」て思うから1人で15貫とか食べちゃうね。ほんと、僕って嫌な性格してますねえ(笑)。その店の名前は教えられないけれど、場所は月島のもんじゃストリートの近く、とだけ言っておくことにしましょう(笑)。 |
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料理も人も熱い、ビーフシチューの老舗。 |
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「グランド」 (洋食/東京・台東区) |
もう一つの好物のシチューについて。浅草にある昔からの洋食屋さん「グランド」のビーフシチューはおいしすぎて"やばい"。でも僕がこの店をひいきにするのは、味だけではなくこの店の人たちが好きだからです。みんな人柄がすごく温かくて、僕がビーフシチューを食べているそばから「野菜食べな」「ホントはご飯も食べたいんでしょ?」とか言っていろんなものを出してくれる。「もう勘弁してくださいよ!」なんて答えながらもペロリと平らげてしまうけど、僕はみんなのそんな人情深いところが大好きなんです。お客の立場になって、ときにはわがままを言いたくなってしまう僕を広い心で受け止めてくれる「グランド」は最高ですね。 |
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目指すのは、子供が行きたいと言ってくれる店。 |
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「つきぢ 田村」 (和食/東京・中央区) |
「つきぢ 田村」に来ていただいたお客様の中で印象的だった方は、つい最近いらっしゃったご家族かな。3歳のぼっちゃんの誕生日のお祝いで見えたんだけど、どうも話を聞いているとぼっちゃん本人が誕生日に「つきぢ 田村」に行きたい!って言ってくれたみたいなんです。どうやら前に来店された時、子供好きのうちの女将と若女将がその子をの面倒を見たらしく、別の部屋でお菓子をあげたりおもちゃで遊んだりして、まるで託児所付き飲食店みたいになってたらしいのですよ。きっと、そのぼっちゃんはとっても楽しかったんだろうな。最後は「帰りたくない!」ってダダをこねはじめたらしく、その時の思い出が強く残っていたんでしょうね。子どもは金額ではなくて味や雰囲気の記憶だけで行きたい店を判断するから、その子がもう一度「つきぢ 田村」に行きたいって言ってくれたのは本当にうれしかったです。 |
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プロフィール |
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「つきぢ田村」若主人
田村 隆
1957年生まれ。「つきぢ田村」若主人。大阪・高麗橋「吉兆」で修行。
初代の祖父平治、二代目父暉昭から教えを受けた伝統を守るとともに、新しい感覚を積極的に取り入れている。
日本料理研究会師範、NHKテレビ「きょうの料理」講師など料理業界、マスコミを通じて活躍中。
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関連情報 |
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